戻る



「どうだ? 拘束されて何もできない気分は?」
「別に、なんてことないわ」
「無理すんなよ。怖いんだろう? 脚が震えてるぜ」
「ただ裸にされて寒いだけよ」
「いいぜ、思いっきり泣き叫んでくれよ。お前の苦しむ様をビデオレターにして送るんだからな」

「いっとくけど、アタシはザフトの”赤”なのよ! 甘く見ないで」
「そうかい、そりゃやりがいがあるってもんだなッっと!」
「ぐぇッ!」
軍靴がルナマリアのみぞおちに食い込んだ。容赦の無い前蹴り。
びちゃ!
胃液が拷問部屋の床に飛び散る。
「どうした? まだ始まったばかりだぞ?」
続いて力任せのパンチが腹部に叩き込まれる。
「ぐうっ! うっ! がふっ!」
「おい、ちょっと代われ、こうやって殴るんだよ」
別の兵士がルナマリアの目の前に立った。
その男はボクシングの構えを取った。
「パンチってのはこうやって撃つんだよ」
男はそういうと、ステップからワンツーをボディに見舞った。
胃が裏返るような一撃。
「がぁぁぁっぁ・・・・」
「やっぱりサンドバッグと違って反応があるって面白いな。お前もやってみろよ」
拳が身体にめり込む音、くぐもったうめき声、男たちのあざける声がコンクリート剥き出しの室内に響き渡る。
何度も、何度も。

どれくらいの時間がたっただろうか。
気絶しては激痛に覚醒し、覚醒しては気を失い、
すでにエリート兵士の誇りはなかった。
あるのは、弱弱しい哀願だけだった。
「…もう、やめ・・・て。許・・・し・・・・て。なん・・・でもします」



inserted by FC2 system